自己満上等ォォォ!!
放課後4時半、体育館裏で待ってます。
とゆう手紙は書いて既に朝彼の下駄箱の中へ。
また彼がそれに気がついて、中身を読んだのも確認済み。
あとはここ(体育館裏)で彼の登場を待つのみ!
私は、これからある男子に告白するの!
相手は欧州クラスのスペイン!
彼に彼女がいるのは知ってるけど、彼が私を振る可能性は0よ!
それはどうしてかですって?
それは私が素敵過ぎるからよ!
学年1美人で成績優秀で運動もできちゃって、おまけにお金持ちな私。
私を振る男なんていないのよ!
告白の手順だって完璧。
ああ早く来ないかしら、マイダーリン。
「んー?この手紙くれたん、キミ?」
そのとき響いたのんびりとした声。
声のほうを振り向けば、マイダーリンが立っていた。
「ええ、そうです。来てくれてありがとう」
「別にええよー。そんでなんか用?」
「え゛…」
「せやから、なんや用でもあるんやろ?何なん?」
にこにこと笑うスペイン。
ふ、普通こういう内容の手紙をもらったら、用事くらいわかるでしょうに!
…ま、まぁ彼のそんなところも私なら愛せるわ。
私は心の中で咳払いをひとつすると、覚悟を決めた。
「あ、あのねスペイン…私…」
「あ、そや。すまんねやけど、俺ちょっと時間ないねん。すぐに済む?」
「え…」
「このあと用事あるんよー」
「え、ええ…大丈夫、すぐに済むわ」
「そんなら大丈夫や!えーと…そんで何の話やったっけ?」
ちょっと何なのよあんた!
人が告白してやろうってのにさっきから!
で、でもまぁいいわ。
きっと私と二人だから、彼も緊張してるのね。
私は心の中でもう一度仕切りなおすと、世界中の男性がくらっとくるような目で下から彼を見た。
「あのね…私、あなたのことが…好きなの!」
「ホンマにー?おおきにー」
ぱぁっと嬉しそうに笑うスペイン。
ああ、なんて可愛いの!私はその笑顔にほれたのよ!
そんなに嬉しそうな顔をするなんて、やっぱりあなたも私が好きだったのね…!
あとは彼女の問題ね。
さっさと分かれるようにけしかけることにしますか。
「喜んでくれるの?でもあなたには彼女がいるのに…」
「あ、ちょっと待ってや、電話や」
「え、あの…」
「あーもしもし?うんうん、今?ちょっと人と会ってんねやけど…」
こんなときに電話優先ー?!
ちょっとそれはないんじゃないの?!
せっかく両思いの男女が結ばれようとしているのに!
ま、まぁいいわ。私は素敵な女性だから、ダーリンの我侭には振り回されてあげるのよ。
「…うん、うん。え、もう終わったん?わかった、すぐ行くから待っててや。うん、ほなな。あー、悪いねんけど…」
「用事ができてしまったのね?」
「ホンマにごめんなー。もう用は済んだ?」
「ううん、しょうがないわ。あとひとつだけ…彼女さんとはいつ別れてくれるの?」
「…へ?」
はとが豆鉄砲くらったような顔をして固まるスペイン。
え、私何かおかしなこと言ったかしら…?
「え、もしかして二股かけるつもりなの…?」
「な、何言うてんねん。そんなわけないやろ」
「それならいつ彼女と別れて私を彼女にしてくれるの?」
「え、え?な、何の話やねん。え?」
「あなたこそ何言ってるのよ!嬉しいって言ってくれたじゃない」
「言うたで、言うたけど…俺彼女おるねんで?…って、あの"好き"はそういう意味やったん?!」
「わ、わからなかったの?!」
「か、堪忍!そういうことやったら、俺彼女おるから…その…」
「そんなのイヤよ!私と付き合って!」
「え、えー?!そんなん言われても…」
「何よ?この私じゃ役不足だって言うの?!」
「そ、そうやないけど」
「けど?!」
「俺が好きなんは、やから」
「なっ…」
「せやからキミとは付き合えへん、ごめんな」
「……」
「ほ、ホンマごめん。わかったって?」
「…わ」
「へ?」
「なんかに負けないわ!覚えてなさいよ、絶対あなたの彼女になってやるんだから!」
「え、ちょっ…!」
「今日のところはこれで勘弁してあげるわ!では、御機嫌よう」
「ちょっ…ちょっと待ってや!」
私はにこりとスペインに微笑むと、くるりと踵を返す。
背にスペインの声が聞こえたけど、私は振り返らずに歩みを進めた。
そのとき、再び彼の携帯が鳴り出した。
それでも私は振り返らない。
「あ、?なっ…ちょっ…!待ってて言うたやん!なんで先に帰ってまうん?ちょ、そこで待っててや、すぐ行くねんから!」
嘘やろーと言うスペインの声と足音が近づいてくる。
走っているようで、どんどん私との距離が縮まる。
それでも私は歩調を崩さない。だってまるでそれじゃ逃げ出すようじゃない。
「やっと追いついた!」
「何か御用?付き合う気になったの?」
「ならへんわ。え、えーと…キミの名前、俺知らへんのやけど…」
「なっ…!」
「す、すんまへん!せやけど、キミかわええねんから、キミには俺なんかよりずっとええヤツの方が似合っとるよ。ほなな!」
「え、ちょっと…!」
私の声を聞くまでもなく、彼は私を追い抜かすとあっと言う間に見えなくなってしまった。
先ほどの言葉と彼の笑顔を思い出して、顔が熱くなる。
「ふふ…ふふふふ…!見てなさいよ!絶対落としてみせるんだから!」
やっぱり私はあなたが好きなのよ、スペイン!
私は諦めないわよ!まずはに宣戦布告よ!
私に、不可能は無いんだから!
乙女、燃ゆる
(な、なんや寒気する)
(バカでも風邪引くの?)
(ヒッド!それが彼氏へのセリフかいな!)
(彼女待たせて告白されてたくせに)
(なっ、なんで知っとるん?!ちょ、シカトはなしにしたって!!)
080331