自己満上等ォォォ!!








私達は剣を構えたまま睨み合っていた。

いや、正確には睨んでいるのは私だけだ。



適度な間合いの向こうに、不満そうな顔をしたスペインがいる。

一応剣を構えてはいるものの、戦意はまるで無さそうだった。


スペインは、私の攻撃を防ぐだけで、私に攻撃をしようとすることはなかった。

おかげでスペインは所々傷を負い、戦況もじわじわと不利になりつつあった。


それでも今目の前に立つスペインは戦う気などないようだ。

その態度に腹が立って、一層スペインを睨みつける。

するとはぁ、と大きなため息をついてスペインが口を開いた。





「…何やってんねん俺ら」

「…ご覧の通り」

「せやからなんで戦争なんかしてんねん。意味わからんわ」

「私の上司の宣戦布告に、あんたの上司が応じたからよ」

「そんなん知ってるわ。俺はその理由を聞いてんねん」




なんで自分の妹と戦わなあかんねん。


その言葉に私はぐっと唇を噛んだ。

ダメだ、このままではスペインのペースにはまってしまう。

私はこの戦争でスペインに勝たなくちゃならないのだ。

どうしても。




「…私はロマーノが欲しいの。でもスペインくれないでしょ?」

「…あいつはペットやないんやぞ」

「知ってるよそんなの。スペインがくれないから、スペインごと手に入れることにしたの」





スペインは目を見開いた。

驚くのも無理はない。

妹として面倒を見てもらい、独立までさせてもらった私が、ロマーノ欲しさに戦争をしかけたのだから。

恩を仇で返すとは、正にこのことだった。





不意にロマーノの顔が思い浮かんだ。

こういう形になってしまったことを、彼はどう思ってるだろうか。

でも彼の願いを叶えるためには、私にはこの方法しかなかった。






「そんなん嘘や」



不意にスペインが呟いて、今度は私が目を見開く番だった。

驚きの事実を聞かされたはずなのに、スペインはきっぱりとそれを否定した。




「嘘じゃないよ、本人がそう言ってるじゃない」

「嘘や。はそんな奴やない。なんやワケがあるんやろ?」

「…だから私はロマーノが欲しいんだってば」

「嘘や。はそんなん思ってへん」




言葉に詰まった。

普段は空気読めないくせに、まったくどうしてこういう時は聡いのだ、この男は。

私は思わずスペインから目を逸らした。






数ヶ月前、ロマーノが私の家にやってきて「俺をスペインから切り離して欲しい」と言った。

理由を聞けば、弱体化しつつあるスペインの負担になりたくないとのこと。

ロマーノは自分の面倒を見るせいでスペインが苦しい状況にあるのを知っていたのだ。

だからお前の家に俺をおいてくれ。

ついには泣き出してしまったロマーノに、私は頷くしかなかった。



私は早速上司にかけあった。

スペインの上司に、こちらにロマーノを譲り渡すように交渉してくれ、と。

しかし上司は首を横に振った。

イタリアなどいらない、と。



それでも私が食い下がると、スペインごと侵略するなら考えると言った。



あまりのことに絶句した。

私を育ててくれたスペインに、大好きなスペインに、斬りかかるなんてしたくない。できない。



断ろうと口を開いたとき、ロマーノの泣き顔を思い出した。

確かにこのままではスペインは滅亡の危機にさらされることになるかもしれない。

たとえそうなっても、スペインは最後の最後までロマーノを手放さないだろう。




それならば、

ロマーノのために、スペインのために。



















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