自己満上等ォォォ!!
椅子に座って外を眺めていた。
細く欠けた月が、それでも鋭く光を放っている。
そういえばあいつは、たまにこんな目をする奴だった。
一体どこでどうしているのやら。
…あいつからの連絡が途絶えて半年が経っていた。
いや、別にいい。私はあいつが大嫌いだから。
いきなり侵略してきて、私を見るなり「俺の保護下に置いてやる」と言い出した。
しかも私をこんな天気の悪くて料理のまずい国に連れてきた(遠すぎて一人じゃ帰れない!)
おまけに小言が多いし、話は長いし、意地は悪いわで…ああもうとにかく私はあいつが大嫌いなんだ!
だからあいつが戦争に行くと私に告げたとき、わざとガッツポーズをしてやったし、
出陣の日だって見送りに出なかった。
戦地から届くあいつの手紙に返事を書くこともしなかった。
それでもあいつは私に手紙を寄越した。
それなのに。
半年も連絡を寄越さないとはどういうことだあの眉毛!
最後に届いた手紙を膝の上で握り締める。
くしゃりと紙がつぶされたが、そんなことはどうでもいい。
何故か胸が苦しくなって、顔を伏せた。
膝の上で握り締められた自分の手の中に、あいつからの手紙がある。
見たくなくてぎゅっと目を閉じた。
死んでしまったのだろうか。
ひどい怪我で動けないのだろうか。
ぽたり。
と、手に雫がたれてきて、目を開ける。
雨漏りだろうかと思って天井を見上げる。あいつの家は古いから。
しかし次の雫がたれてくることはなかった。
当然だ、雨など降っていないのだから。
ぽたり、ぽたり。
雨は降っていないのに。
また雫が手にたれたものだから、私はとうとう自分が泣いていることを認めざるを得なくなった。
「なんで泣いてなんか…ッ」
止まれ、止まれと念じても、涙は止まるどころか逆に溢れる。
あいつのために涙を流す謂れは無い。
あんな奴大嫌いなのに。いなくてせいせいしてるのに。
それなのにどうして。
泣きたくなんかないのに、涙は止まらないのは何故?
I know...本当は知ってるの。
(あなたがいなくて寂しいってことも、あなたのことが好きだってことも)(だから早く帰ってきてイギリス)
『The Lark Ascending』 20080204 あとがき