自己満上等ォォォ!!
丘の上に寝転び、ぼんやりと空を眺めていた。
珍しく晴れた空を雲がゆっくりと流れていく。
草が風に撫でられて、静かに揺れる。
穏やかな雰囲気にだんだんと眠くなって瞼を閉じた。
「ああ、こんな所にいた」
遠くから聞こえてきた草を踏みしめる規則的な音。
聞き慣れた声に目を開ける。
少し向こうの草と空の間に、苦笑を浮かべてが立っていた。
「…」
「お父様たちがあなたを探しているわよ」
「知ってる」
「まぁ呆れた」
「…お前の父親には悪いと思ってるよ。数少ないまともな議員だからな」
はため息をひとつ吐いたあと、また困ったように笑った。
「それじゃあ今日も欠席?」
「俺がいたって何も変わんねぇよ。勝手にやってくれと伝えてくれ」
彼女に向かってひらひら手を振って、俺はごろりと横を向いて瞼を閉じた。
これで会議に参加する意思がないことが十分に伝わっただろう。
は何も言わなかったが、静かに草を踏みしめて近づいてきた。
無理やり引きずっていくつもりか?
俺は瞼を閉じたまま、彼女の動向を探った。
すると予想外なことに、は俺の隣にごろりと横になった。
驚いて背中越しにを見ると、彼女はにっこりと笑った。
「お前…」
「私も行かない。会議なんてつまらないもの」
あなたとここにいた方が楽しそう。
はそう言って笑みを深くした。
その笑顔にドキリとして、慌ててまた横を向いた。
「か、仮にも議員の一員なのにそんなんでいいのかよ」
「なりたくてなったわけじゃないわ」
「……」
「でもなったからにはあなたのために尽力します」
「…お前は民衆のために動け」
「国そのものであるあなたの幸せはそのまま民衆の幸せに繋がるわ」
「か、勝手にしろ」
の言葉が純粋に嬉しかった。
議員のほとんどが貴族だった。
奴らは私利私欲のために国を動かそうとして、不毛な争いをする。民衆のためだと正義を語って。
俺はその場にいるのが嫌いだった。貴族が嫌いだった。どうにでもなればいいと思っていた。
しかしや彼女の父親のような者もいると知ったとき、俺の国民も捨てたもんじゃないと思った。
それどころか。
ちらりと隣に寝転ぶを見る。気持ちよさそうに目を閉じている。
この貴族にして貴族らしからぬに好意すら抱いている。
その横顔に見とれていると不意にがこちらを向いた。
瞬間的にバッと顔を背ける。
くすくすとが笑うのが聞こえる。
「人の顔をじっと見ておいてひどいわね」
「う…うるせーな」
「何かご用かしら?」
「…お前一応貴族の娘だろ。草っぱらに寝ていいのかよ」
「イギリスが誰かに言わなければバレないわ」
そう言って楽しそうに笑うを心から愛しいと思った。
「…変なヤツ」
は俺の幸せが民衆の幸せに繋がると言った。
それなら彼らは今、幸せだろうか。
遠くの時計台で鐘が鳴った。
そして今日も会議が始まる。
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