自己満上等ォォォ!!


が。



「嘘…!」



銃はなんどやってもカチッと引き金を引く音を立てるのみで、弾が飛び出すことは無かった。

アーサー・カークランドが声を立てて笑う。



「弾がなくなったみたいだな、



さぁどうする、俺の船に乗るか?

にやにやと腕を組んで私を見るその態度が憎たらしい。

私は銃を握り締めると、アーサー・カークランドに向かって駆け出した。

走る足がふらつく。雨で滑りやすくなっていて、転んでしまいそうになる。

それでも私は奴に殴りかかった。



「弾切れの銃も、こう使えば凶器になるのよ!」



揺れる視界の中で、奴が笑っているのがわかった。



「覚悟!」



私は渾身の力をこめて、奴の顔に銃を両手で振り下ろした。



やった…!



そう思った瞬間、奴はにやりと笑みを深くした。

ブンっと空気が斬られて悲鳴を上げた。

私は振り下ろした銃をそのままに立っていた。

目の前に立っていたはずのアーサー・カークランドがいない。

不意に後ろに気配を感じて、振り返ろうとした瞬間にトン、と背中を押された。

たったそれだけのことで簡単に傾く私の体。

私は受身をとることもできずに、したたかに地面に体を打ちつけた。

それでも銃は放さなかった。

目の前に銃を握り締める自分の手がある。



倒れていては駄目だ…!




もう一度立ち上がろうと腕に力をこめた瞬間。



「…っ!」




銃を握った手を踏みつけられた。

加減なく踏みつけられたが、それでも銃は放さない。

唯一の武器だ。

相手もそれをわかっているらしく、私が離すまで踏みつけるつもりらしかった。

地面に捨てたタバコの火を消すように、ぐりぐりと私の手を踏みつける。



「ああ…っ!」



ひときわ強く踏まれ、私はついに銃から手を放してしまった。

アーサー・カークランドはそれを見逃さず、私の手を蹴飛ばすと、同じように銃を蹴飛ばして遠くにやった。

これで私は唯一の武器をなくしてしまったわけだ。

悔しさに涙があふれてくる。

頬を伝う雨は冷たいのに、涙は暖かく、妙に感じた。

アーサー・カークランドは私の傍にしゃがみこむと、雨でぬれた私の髪を掴んで引っ張った。



「いたっ…」



痛いと訴えても、何も言わずさらに引っ張る。

どうやら体を起こせと言うことらしい。もう抗う力は残っていない。

傷ついた体は雨で冷やされて、もうほとんど感覚が無かった。眠りたい。

仕方なく体を起こしてアーサー・カークランドと向き合って座る形になる。

アーサー・カークランドは私の髪を掴んだまま、また満足そうに口端を上げる。

薄暗い中でも光を放つ、碧の瞳。

意地悪そうに爛々と輝いている。

それを不覚にも綺麗だと思ってしまった。



、本気で俺の船に乗らねぇか?歓迎するぜ」

「…海賊になる気はないわ」

「そいつぁ残念だ」



アーサー・カークランドはため息をつきながら、懐から拳銃を取り出した。

ああもう体がだるくて仕方が無い。

体を投げ出して眠ってしまいたい。

アーサー・カークランドは銃口を私の米神に勝てると、呟くように言った。



「…お前一人でよくやったよ、

「…それでも負けは負けよ」




私はもはや諦めにも似た気持ちで、目を閉じた。

もう眠くて仕方が無い。どうせなら早く眠ってしまいたかった。

カチャリと安全装置を外す音が聞こえた。

私は来るであろう激痛に覚悟を決めた。



私の、負けだ…







しかしいつまで経っても来るべき衝撃は来なかった。

変わりに唇に何か暖かいものを感じる。



「?!」




驚いて目を見開くと、目の前にはアーサー・カークランドの顔。

静かに伏せられた瞼を、髪と同じ金のまつげが縁取っている。




何だこの状況は…




私は混乱して、されるがままでいた。

呆然とそのままでいると、アーサー・カークランドは顔を離してにやりと笑った。

それを見て我に返った私は、顔に熱が集まるのを感じた。

思わず手で口を覆う。



「なっ…何を」

「どうしても手に入れたくなった」

「!!」

「俺は海賊だからな、欲しいものは必ず手に入れる」



私はあまりに予想外な展開に、何も言えずにいた。

目の前で碧の瞳が輝いている。



「…力ずくで連れて行くのもいいが…惚れた女に必死で追いかけられるのも悪くねぇだろうってな」

「なっ…」



言葉も出ない私ににやりと笑みを投げかけ、アーサー・カークランドは立ち上がる。

さてと、そろそろ行くか、なんて言いながら。



「それじゃまたな、

「もっ、もう会わない!!」

「言ってろ、絶対落としてみせる」

「!!」




もう一度私の額に唇を寄せると、にやりと笑って踵を返した。

不覚にも胸が高鳴った。

段々遠のいていく奴の背中。

それが心なしか楽しそうに見えて、悔しかった。

私はへたり込んだまま、大声を上げた。



「覚えてなさいよ!絶対捕まえてやるんだから!」




その声は届いたのか届いていないのか。

どちらにしろアーサー・カークランドはそのまま振り返らずに、雨の中に消えていった。





私と奴の戦いはまだ始まったばかり!






--------------------------------09/01/18

なんだこの話。

描きたいことが上手くまとまってないのが腹立たしい。

続編書くかどうか考え中...














inserted by FC2 system